| 運動時に水分補給が欠かせないことは今さらアドバイスするまでもないと思います。人間の体の約6割は水で占められています。さらに筋肉には水分が70〜75%含まれるのに対して、体脂肪にはわずか10〜15%しか含まれていません。つまりよくトレーニングされた筋量の多いスポーツ選手は水分の占める割合が比較的多いということになります。そのため、運動時に発汗した分、しっかり水分を摂取しないと脱水症状を生じやすいのです。脱水が進んでしまうと体温調節能力だけでなく、競技パフォーマンスが低下してきます。脱水状態が体重の約3%に及ぶと競技力が低下してくるといわれています。アスリートにとって運動中の水分補給は熱中症の危険から体を守るために、またパフォーマンスの低下を防ぐために大切なのです。 |
| 1. 練習前後の体重変化をチェックしよう! |
| 実際に水分補給が十分にできているかを見極めるのは難しいのですが、発汗量を把握して適切な水分補給するために、練習前後の体重を測定することをお勧めします。練習後に体重が減りすぎているのは、水分補給がうまくいっていないことになります。 |
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2. どのように補給すればいいか? |
| 運動強度と水分補給の目安を(表1)に示しましたので参考にしてください。但し、一度に飲むのではなく、1回につき200ml程度を目安に15分〜20分おきにこまめに飲んで下さい。練習の内容によっては、それほどきっちりとは補給できないかもしれませんが「できるだけ、のどが渇かないように補給する」よう心がけましょう。つまり大事なのは練習中に水分補給をしたいとき、いつでも飲める環境をつくっておくことです。練習場に水飲み場があればいいでしょうし、ないのであればチームでクーラージャグを用意したり、自分でスクィーズボトルを用意することです。その際に注意したいのは、決して回し飲みはしないことです。これは、感染症などの防止のためです。寒い時期にインフルエンザなどが流行しているときは特に注意する必要があります。 |
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3. 何を補給するのか? |
| (1)吸収が速いもの |
運動中は汗によって失った水分補給を優先しますが、後半はバテを防ぐために糖質の入った飲料を摂ります。水分を吸収するのは腸ですから、摂取した水分を素早く胃から腸へ移動させることが重要となります。
図1でわかるように、水分組成によって、胃を通過する速度、腸から吸収される速度に違いが生じます。水は糖質を含んだ飲料よりも速く胃を通過しますが、腸管では2.5〜8%の糖質を含んでいるほうが速やかに吸収されます。しかし糖質濃度が高すぎると浸透圧も高くなり、吸収速度は遅くなります。市販されている「アイソトニック」のスポーツ飲料は6%前後の糖質と汗から失われる電解質を含んでいます。しかし実際、激しい運動中にスポーツ飲料を選手に飲ませると「甘すぎる」と感じることが多くあります。これは、のどを通過した甘味を含む水分が胃に留まる時間が長くなるためです。水で2倍に薄めて2.5%程度の「ハイポトニック」にしたほうが選手には飲みやすいようです。
また、運動が長時間に及ぶときは0.2%程度のナトリウムの補給を忘れないようにして下さい。 |
| (2)冷たいもの |
補給する水分の温度は冷たければ冷たいほど吸収は速いといわれていますが、5〜15ml
くらいが飲みやすく感じます。クーラーボックスなどに氷を入れて冷やしておくようにし
ましょう。暑いときは、水分補給と同時に、頭や体に水をかぶる、アイスパックで身体を冷
やす、タオルで汗をふき取る、日陰で涼むなどの暑さ対策も行うようにしましょう。 |
<表1>運動強度と水分補給の目安 |
| 運動強度 |
水分摂取の目安 |
| 運動の種類 |
運動強度
(最大強度の%) |
持続時間 |
競技前 |
協議中 |
自転車トラック練習
バスケット
サッカーなど
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75〜100% |
1時間以内 |
250〜500ml |
500〜1000ml |
自転車ロード練習
マラソン、野球など |
50〜90% |
1〜3時間以内 |
250〜500ml |
500〜1000ml
/1時間ごと |
ロングライド練習
ウルトラマラソン、
トライアスロンなど |
30〜70% |
3時間以上 |
250〜500ml |
500〜1000ml
/1時間ごと
必ず塩分を補給 |
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(注意)
| 1. |
温度条件によって変化するが、発汗による体重減少の70〜80%の補給を目標とする。
気温の特に高い時には15〜30分ごとに飲水休憩をとることによって体温の上昇が幾分抑えられる。 |
| 2. |
水温は5〜15℃が望ましい。
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| 3. |
組成はまず口当たりがよく飲みやすいものとする。それに0.2%程度の食塩と5%程度の糖質を
含んだものが適当
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<川原貴、森本武利:スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック、(財)日本体育協会、1999、一部加筆>
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| <図1>水分組成による吸収の違い |

少ない量の糖質は水分の吸収を促進する(図の左,“A”).糖質濃度が高くなると,消化管での移動を抑え,水分分泌を促すため,真の水分吸収が抑えられる(右側,“B”).“A”は高い水分―低い糖質の利用が,“B”は高い糖質―低い水分の利用が誘導される.水分の恒常性を障害しないで糖質の利用が最大となるのは,60〜80g/の糖質を含んだ飲み物である.飲み物を選ぶときはスポーツが行なわれる気象条件と生理学的特性を考慮するのがよい.(Brouns, F. : Nutritional Needs of Athletes. p68, John Wiley & Sons, 1993.)
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| <図2>水分補給のポイント |
冷たいもの
(5〜15℃)
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吸収の速いもの
糖質6%前後
ナトリウム0.2%程度
練習が激しい時は
薄めて糖質2.5%程度に! |
回し飲みをしない |

練習前
250〜500ml程度
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練習中
15〜20分おきに200ml程度
のどが渇いたと感じる前に!
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練習前後の
体重をチェック |
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